Fearless Change を読んだ。
あえてネガティブな表現をするならば、組織における政治の本です。
でも組織の中で、正論ばかり振りかざしたところで一体何になるというのだろうか。
素晴らしいアイディアは、多くの人が利用し、成果を出して初めて価値を生む。
そのためには自分以外の多くの人たちを相手にしなきゃいけないのだ。
本書では、組織に新しいアイディアを持込み、広め、定着するための実践的な手法がパターンとしてまとめられている。
正直なところ、その一つ一つに目新しい発見はなかった。
でも「そうそう、そうだよね」と読み進めているうちに、この本の魅力に気付いた。
この本は様々なアプローチをパターンとして定義し、明文化し、名前をつけたところが素晴らしいのだ。
これが「パターン」の強さか!
ただ、(性質上仕方ない面もあると思うが)個々のパターンの詳細を把握する前にその参照が出てくるので、読み進め方には戸惑った。
一定の単位(章とか節とかでいいと思う)を読んだら、そのパターンの詳細ページを読んで、また戻ってくるような読み方がいいかもしれない。
あと、「アジャイル」というワードがタイトルに入っているのは良し悪しだと思う。
どうしてもこのキーワードは初めにソフトウェア開発を思い浮かべてしまう。
この本はもっと広義の組織論だと思うので、もっと幅広い分野を連想させた方がいい気がする。
変化を起こすための戦いは、孤独になりがちである。
煮詰まった時、仲間を探す時、仲間を助ける時、必ず役に立つと思う。
あと、この本を読んで実は一番よかったかもしれないのは、「変化は恐れるほうが自然だ」ってことを思い出せたこと。
自分は変化しないことがリスクだと思っているし、変化を許容していくほうがむしろ安全だと思っている。
そう考えるようになってからむしろ積極的に変化を楽しむようになったんだけど、アイディアの内容や組織の文化によってはそうじゃない人のほうが多いし、変化を怖がる方が当たり前かもしれない。
相手の気持ちや立場を考えることは忘れちゃいけないやね。